「 税制改正に備える 資産活用術」3
【ローン選択が資金計画の鍵】
マイホーム計画の資金計画についての要点をまとめてみました。
前回に引き続き、「日経アークテクチャー2013 5-10号記事:税制改正に備える資産活用術」の記事を参考に。
●返済額の限度
この記事の著者は資金計画の基本を、「自己資金は総費用の20%、返済額の限度は年収の25%以下」といいます。
確かに自己資金を20%出せれば、借り入れが減るので安定した資金計画になるわけですが、年代的にもっとも多い住宅一次取得層である30才台では、なかなか自己資金を20%以上確保することも難しいかもしれないし、預金をほとんど住宅建設費に使ってしまうというのもちょっと不安なのではないだろうか。
結局は毎月の返済額が家計に占める割合が大事であって、それさえ問題がなければ自己資金確保にこだわらなくてもよいのではないか・・とも思います。
一方、返済額の限度を年収の25%以下と考えるのは大切な目安だろう。
銀行などの基準では30%や35%以下などであるが、やはりこれは25%以下を目安に設定すべきでありましょう。
住宅ローンの長期ローンに加え、車や教育ローンなど短期的なローンが加わってくると、一時的にも年間の返済額がいっぺんに上がってきて家計を圧迫するからです。
●ローンの選択
①「できるだけ長期間のローンを組む」
≪メリット≫
・月々の返済が少なくなるので世帯主が大幅減少になっても対応しやすい。
・経済的に余裕があるときは繰り上げ返済して元金を減らせばトータルの利子の支払いを減らせる。
≪デメリット≫
・支払う利子の金額は短期よりも増える。
②低金利時代には長期固定金利を選択する。
③元利均等返済と元金均等返済
返済方法には元利均等返済と元金均等返済の二つの方法があります。
メリットデメリットを比較すると。
※元利均等方式は・・メリット・ 返済額が一定なので家計を管理しやすい。返済初期の負担が小さい。
・・デメリット・利子分を先に支払うので元金がなかなか減らずローン残高が減りにくい。
※元金均等方式は・・メリット 元金が早く減るので、利子が元利均等方式よりも少なくなる。(返済総額が少ない)
・・デメリット・返済初期の負担が大きい。
・返済額が毎月変わるので家計管理が難しい。
これらのことを考えてみると、返済額が安定した元利均等方式をお選びになるお施主様がほとんどです。
●返済計画を考える。
返済計画を考える上でまず、おおざっぱではあるけれど住宅建設のコストを算出してみる。
①建物単体(税抜)・・・・・・・・・50万円/坪×40坪=2000万円
②別途工事・・・オプション工事(本体工事の10%と仮定)=200万円
③諸費用・・・・(①+②)の5%と仮定 2200万円×5%=110万円
⑤予備費・・・・本体工事費の5%と仮定2000万円×5%=100万円
⑥消費税・・・・5%・・・・・・・・・・・・・・・・・120万円
合計2530万円。
となったとします。
次に年収から逆算していくら借り入れできるかを考えます。
年収を400万円と仮定した場合(ご夫婦合算でもOK)
①1年間のローン返済限度額を年収の25%以下と考えると、年間返済限度額は
400万円×25%=100万円になる。これを12か月で割ると8.3万円/月・・・・①
この数字からいくら借り入れられるかが確認できますが、ローン返済額の計算は大変複雑なので銀行のホームページのローンシュミレーションなどを利用すると便利です。
ちょっとやってみましょう。M銀行のローンシュミレーション。金利1.7%、返済期間35年、元利均等返済方式で1000万円借りた時の毎月の返済額は31.607円と出ました。この金額で返済限度額の毎月分83.000円①を割ると・・
8.3000円÷31.607円=2.62という数字になりました。
よってこの条件での返済限度額からの融資額は2620万円となり、年収の25%以内に収まるということになります。
そして上記の住宅建設費用を自己資金なしで賄えることになりますね。
しかし、毎月8.3万円はきついよなぁ・・とお考えの方もおられるかもしれません。
それでは、毎月6万円なら・・となった時の融資額を逆算すると・・・
60.000円÷31.607円≒1.9となり、1.9×1000万円=1900万円。
となります。
上記の建設費用2530万円からですと2530万円−1900万円=630万円が不足となります。
この630万円をどうするか・・・建物のグレードを落として計画するかということになりますが、
どうしてもこのグレードの住宅を実現したいとお施主さんがお考えの時に、ご提案できるのは
「親から資金を贈与してもらう」、「親に資金をねん出してもらい、親との共有名義にする」「親から借金する」の三つがあると著者は述べていて、「特に親からの資金贈与が有効」と書いています。
以下『』内、 本文から抜粋↓
『・・・特に著者は、親からの資金贈与が有効と考える。親や祖父母など直系尊属からの住宅取得資金の贈与には、一定の非課税枠が設けられている。2013年中なら、省エネ受託を建てた場合は1200万円、通常の住宅でも700万円まで非課税だ。これ以外にも年間110万円まで、一般的な贈与税の基礎控除があるので、最大1310万円まで非課税にできる。
親の資産額にもよるが、将来相続税を支払って相続するより、現在非課税で贈与してもらう方が節税になる場合がある。「子供のために住宅資金を出したい」という親も少なくない。
仮に1000万円までの資金を提供してもらったとしよう。建設コストを抑えるため省エネ住宅にしなかったとすると、贈与税額は19万円((1000万円−(贈与税の非課税枠700万円+一般の贈与税基礎控除110万円)×10%)となる。・・・』
調べてみると、この贈与税の非課税は時限措置で、2014年中までの限定のようです。
そしてその年で非課税の金額が変わります。
2013年は省エネ住宅が1200万円、一般住宅が700万円。
2014年は省エネ住宅が1000万円、一般住宅が500万円。となっています。
総費用が調達資金を超えても、親からの贈与の非課税枠を利用するなどの方策が、現在は節税をかねて考えられる。ということもいえます。