「木育」をご存知でしたか?

 わたくしは、昨日知りました(笑)

 昨日、宮崎市で「スギシンポジウム2009」が開催され、「木育・もくいく」というテーマで講演があったのですが

そこで、山下晃功先生の基調講演「木育で人間・活木(いき)・活木(いき)」というお話がありました。

その中で、木育とは木を育てるということではなく「子供から大人までの木材利用に関する教育活動」とのこと。ん?チョッと抽象的で・??・・ご本人も「食育の‘早寝早起き朝ごはん”と比べるとわかりにくいですね」と苦笑いされてましたが・・・

 
この木育(もくいく)とは、生活の中で木を身近に感じて、もっと木を使ってください。身近においてくださいということらしいです。
そう言われてみると私たちの暮らしの中、辺りを見回すと昔に比べて木でできているものはかなり少なくなっているのに気づきますよね。

 これ書いてるわたくしの部屋も・・机、本棚は無垢の木でできてますが、いろんな備品、書類トレイ、筆立て、ゴミ箱、書類ケースはプラスチック。パソコンとその付属品やCDとそのケースは金属とブラスチックです。・・・(でも気に入ってる置時計とアヒルの本立て(笑)は木でできてるな・・)

昭和三十年代くらいを境に材料革命、燃料革命によって、それまでは木でできていた、いろんな生活用品が石油化学製品取って代わられて、木でできたモノがどんどん生活から消えていきました。住宅の窓も金属サッシに変わったですね。燃料も炭や薪からガスや灯油へ、急激に・・

 昨年、実家の倉庫を、なんか掘り出し物はないか(笑)と捜索したら、発見しました、木でできた桶。底板の裏を見ると昭和二十八年と書いてある。墨で・・
 あと、米を計量する木でできた一斗マスやモロフタなどがありましたな。

これらのものは現代ではポリバケツやプラスチックの石油製品に代わっていますね。・・・
 
しかし、木製品の桶は夏に水をためてスイカやトマトを冷やし、一斗マスはマガジンラック、モロフタは図面入れに使ってみるといい感じなんです。プラスチックでこうはいきませんな。
  
 ▼一斗マスとタライの使用状況(マスには雑誌を放り込んでます。タライは今年の夏)↓


木を材料に人の手をかけてつくられたモノは、大量生産の石油製品、プラスチックに囲まれた暮らしの中で余計によさを感じます。木は五感を刺激する。  人の手と木はとても相性がいいのだと思います。

そして、この山下先生が「もう産業界もただの従来通りの産業ベースで事業展開しても、私の見たところ大きな発展はないのではないか・・・大きな視点を変える必要がある。」とお話されていました。ココですよポイント。激しくシンクロしたのです、わたくしの心は。・・恐れながら。
そして先生「現代は、環境新時代!森林木材時代!」と威勢がいい。それ聞いてるとこちらまで楽しくなってきました。(笑)

 先生の大学での授業は木工を学生にさせることだそうです。

「わたしは大学でこんな背広は着ていない!作業着で、カナヅチ、ノコギリ、ゲンノウを持たせたらすばらしいパフォーマンスを見せますよ。」とご自分でおっしゃられ、「38年間、木を使ったモノづくり中心に教育をやってきた!」自信満々。おもしろい先生だなぁ。

 先生の授業は、学生を試験の点数で評価せず、木工作品をつくり、その仕事を完遂させることが単位取得の条件とのこと。そしてその木工づくりの活動を市民活動まで広げておられるそうです。

 モノづくりをしているときの青少年たちは、集中、夢中、熱中してなりふり構わずやっているそうです。
三昧(ざんまい)という境地でしょうか。

 ★木を使ってモノをつくるというのは人間の何に良いのか?というお話がありましたので、下にまとめてみました。

まず、●構想力「なにをつくろうか?」・・・●工夫、想像力「材料と道具はどうしようか?」
●立体認識(モノをつくるのは三次元の世界)●構造、機構探求(どんなつくりになっているのか?)
●計算、立体計算(採寸、計算)●生活想像力(生活の中でどんな使い方をするか)●段取り力(次はなにをすべきか)
●手を使う(手は第二の脳)●忍耐力(そう簡単にうまくは、いかないことばかり・・)●危険回避力(うっかりすると怪我する)
●集中力と継続力(これがないと、とにかく進まない)


「そして何より最後の・・・悪戦苦闘の末に!達成感!と成就感!・・これが味わえる! 今の若者がいちばん感じ取ってない喜びではないか!?」と先生の話もクライマックス!
聞いてて先生の熱が伝わってくるなぁ・・。実践に裏打ちされた方の話は迫力あるのだ。

 「モノづくりには痛いこと、苦労すること、しんどいこと、いっぱいあるけれど、そういうものを全て含み込んだ、まさに総合人間力をパワーアップするのに必要なものが含まれておる。」とおっしゃった。

ん〜「木育」というのは、木に人間が育てられてるのではないかという感じがしてきたですね。

そして先生は、「木以外で・・金属で、小学生が何かものつくれますか?!・・プラスチックで創造力豊かなものを子供がつくれるかっ!!」と叫ばれるのであった。......そうだ!そうだ!

今夜はこのへんで・・続きはまた・

                      m.noda