旧二見家住宅を見学

陰影礼賛を体感できる場所の一つ。高岡町去川にある「旧二見家住宅」。
数年前に訪れて以来二度目の見学。






メジャーを当ててみてちょっと驚いた。
この座敷の基準の天井高は2550㎜。数字的には現在の一般の住宅の天井高さ2400、2500と比べて特別高い数字ではない。
にもかかわらず室内にいると天井が高く感じる。
2700くらいあるだろうと感じていた。

この錯覚はなぜだろう・・と考えてみると・・座敷を囲む建具の高さが低いのが関係してないか?・・・建具を測ってみると1760㎜。現在使われる建具の高さと比べるとなんと20㎝以上低い。
この高さに鴨居が取り付けられすべての開口部がこの寸法で統一されている。
フスマを開け放すと鴨居とその上の欄間が、連続して庭の緑へとつながり、「抜け」をつくっている。
この低い鴨居のゲートの連続が空間の重心を抑えているのですね。これで天井が高く感じるのではないかと思った。
高低の相対性。
しかしさすがにこの建具の1760㎜は、1680㎜の身長のわたくしでさえ、ちょっとかがみたくなる高さ。頭上のクリアランス80㎜(8センチ)だもんね。・・・・
人は自分の頭上何センチ以上あれば心理的に区切りを感じなく移動できるのか・(茶室のにじり戸はきちんと認識させるための戸です。こっから先は別よと)・てね。実験してもおもしろいかも。でもなぁ・・この時代の人々を鴨居の高さから逆算すると(すんなり通過できる頭上の距離を一尺(30センチ)とするなら176−30=146㎝になる。こんなに小さかったやろうか?・・・
調べてみたら江戸時代の女性の身長がそれくらいでした。
男性で155㎝くらい。


また、この建物の座敷棟は江戸時代のもの、当然天井には照明器具が付いていない。これがまた空間をプレーンにして気持ち良いです。
島津斉彬岩倉具視が休憩したという座敷で一人初夏の風に吹かれてきた。この季節、本当に気持ちの良い空間でありました。
見学者はほとんど無し。貸し切り(^^)。昼過ぎに訪問して、閉館時間まで。係の人が「もういいですかぁ・・」と(笑)雨戸を閉め始めるまで、写真やスケッチしながら長居しまいました。






■すべての窓がピクチャーウインドウ(^^)



↑↓この部屋の光の美しいこと・・・溜息出るくらい・・窓からエメラルドグリーンの光。室内の薄暗さが窓外の緑を美しく引き立てる。この家のすべての窓はピクチャーウインドウ。
勾配天井の斜め張りもの高さもいい感じで降りてくる。





近くにそびえる大銀杏も立派でございました(^^)


 野田