2020年までに50%

 CO2削減の数値目標ではありません。
「木材自給率を2020年までに50%に」という政府の林政再生プランの数値目標です。
ちなみに08年の自給率は24%なので倍増計画ということになりますね。

 これまでの林政は森林の維持管理が中心で、産業としては重視されてきませんでした。日本の工業製品を外国に買ってもらっていたのでその代わりにというか・・木材の自由化が行われて、安い外材が入ってきて国産材が太刀打ちできず林業は衰退の一歩をたどっていました。
自動車輸出産業の代わりに生け贄に林業は差し出されていたイメージがあるんですよね・・

 それが政権が変わり「コンクリートから人へ」を掲げる鳩山政権は菅直人財務相の旗振りのもと、林業を成長戦略のひとつに位置づけました。
狙いは、まず雇用対策、コンクリート産業からあふれた雇用の受け皿。そして、温室効果ガスの森林吸収枠の確保だそうです。
近年の公共事業縮小により地方では土木、建築の仕事が激減しています。これまで地方の産業と言えば公共事業に頼ってきた部分が大きいわけですね。その分を林業へと向けさせるいうことなのでしょう。産業構造の転換です。
しかし、なんといってもこの国の森林が青々して自然が豊かで、地域で暮らす人々や子ども達が元気で、貧しくなければ、ひとつのユートピアですな。

■作業道を整備して間伐材を運び出しやすくし、産業として再生させて木材自給率を「10年で倍増させ、木材加工、森林観光まで含めて「100万人の雇用拡大」につなげる――――
 これが鳩山政権が描く森林・林業再生プラン。

■「林業は成長戦略の柱だ。大変な政治的意思が働いている。どう実現するかに尽きる」(国家戦略室 梶山内閣審議官)
林業再生にかける思いを菅直人財務相(当時は国家戦略相)は「これは明治維新と同じだ」梶山氏に「思うようにやれ。必要なときはおれを使え」と・・
昨年11月林野技官トップの「木材の需要がありません」に対しては「需要の問題じゃない。木が太っても運び出せないことが問題だ」

林政を変えて、眠っている森林資源を生かせば、外材から需要を取り戻し、新たな需要も生まれるという主張。↑先日の新聞記事読むとこの林業再生実現に政府は本気ではないかという感じがしてきます。

鳩山政権はこれまで具体的な施策として、まず昨年10月。作業道整備や技術者養成を打ち出し、09年の二次補正予算で62億円を計上。
地方自治体インフラ整備交付金(5千億円)の主要な使途としても作業道整備を示しています。(これは公共事業するなら林道を整備してね・・と言うことか?)


わたくしは林業に対してこれまで、山の疲弊した実情を見聞するにつけ将来は暗い感じしか受けなかったのですが風向きが変わりはじめたのでしょうか。

 先日、出席した宮崎県森林環境部主催の県産材シンポジウムで県木材連合会の会長さんが「政権が変わりすこし光明が見えてきました」と話されていたのはこのことだったのだな。

旗振り役だった菅直人氏が、国家戦略相から離れて財務相に変わられたのはチョット心配ですが・・
「ものすごく高いハードルだが、政治から非常に強いメッセージをいただいている以上、やらなければならない」島田泰助・林野庁長官

世論では支持率低下一方の鳩山政権ですが、わたくしはこの政策に一票!
宮崎県でも戦後植林され、これから大きく太っていく杉が山にたくさん眠っています。
地元の宝物をどう生かすか。

わたくしたち住宅屋はそれをどううまく使っていくか考えなければいけません。



 m.noda